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恩送り

この言葉を知ったのは、今年になってから。

なんて素敵な言葉なんでしょう!、と久しぶりに感動したことを憶えています。

 

長い年月生きてきて、数知れない多くの方々にお世話になってきました。

年上の方、上司、趣味の師匠、、この先、何年かかっても、私ごときの力では到底、ご恩返しできない方に対して、心苦しく感じることも多々ありました。

 

離れて暮らす母が高齢になってきて、あちこちでお世話になっているのだろうけど、私にできることは、帰省の際に感謝の言葉とお土産を届けることぐらい。

「モノ」じゃないよね、と思いつつも、それしか思い浮かばない。

 

そんな時に出会えたのが「恩送り」。

そうか、これなら遠い先でなくても、離れていても、今のわたしでもできる!

 

先日、混んでいる電車に座っていたら若いカップルが乗ってきて、よく見ると、背中に回っている斜め掛けバッグに「おなかに赤ちゃんがいます」タグが。

当然、彼らの前に座っている方にはそれは見えません、まだ、4か月くらいでしょうか、

おなかの膨らみも目立たず、そのタグがないと妊婦さんだとは気づきません。

 

思わず立ち上がり、「どうぞこちらに」と声を掛けました。

周りの方は、なぜ、こんな若い人に席を譲るんだ、と驚いた表情されましたが、

二人とも礼儀正しいお辞儀と共に、「ありがとうございます!」と爽やかに私の申し出を受け入れてくれました。母に席を譲ってくださっているどなたかに、お礼を言えたような気がしました。

 

次の駅で降りる時、彼らに会釈しましたら、二人して大きな声でまた、「ありがとうございました!」と。

 

みんなが目まぐるしく動く昨今、心に余裕がないと自分のことで精いっぱいですが、親切にされたら誰かほかの第三者へ、善意の輪をつないでいけたら、今よりもっと穏やかな社会になっていくことでしょう。

 

Pay Forward(ペイ・フォワード)」という映画があったそう。キャッチコピーは「きっかけはここにある!」。

まさに!

M&M