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「ウィズ コロナ」という考え方

 緊急事態宣言は解除になりましたが、また感染者数が増え・・・ 第2波、第3波も案じられます。こころのざわつきは、なかなか治まらないですね。

今これを書いているのは531日。こうして日付を確認しておきたくなるほど、状況は刻々と変化しています。それでも明らかなのは、この新型コロナウィルスを撲滅することはおそらくできないのだろう、ということ。今までの感染症の歴史を見ても、エイズや種々のインフルエンザなども、治療法や治療薬、予防法やワクチンなどが見いだされ、撲滅はできないまでもうまく乗り切っていく、というかたちになっています。おそらくはこの新型コロナウィルスとも、そのような付き合い方になっていくのでしょう。

 

「ウィズ コロナ」という言葉は、29日の小池百合子都知事の会見にもありましたが、もっと早く4月の初旬あたりから使われ始めていました。新型コロナウィルスはもちろん、未知のウィルスのパンデミックが今後も起こる可能性が多くある。わたしたち人間には、これらウィルスと共生していく覚悟が求められるのでしょう。そのための「ウィズ コロナ」だと。

そして今までの大きなパンデミックの後に、世界は大きく変化しています。14世紀のペストの後にはルネッサンスが興り、20世紀のスペイン風邪の後には近代化が促進されました。この「ウィズ コロナ」という考え方は、すでにわたしたちの生活を大きく変えています。今回のパンデミックの後には、どのような変革が来るのでしょうか。

 

エッセンシャル・ワーカーという言葉をよく聞くようになりました。医療従事者をはじめスーパーやコンビニの店員さん、物流や公共交通機関の人々、ごみ収集や行政の窓口、金融機関の人々など・・・ この人々によって、今の不自由な生活が支えられています。

今までは当たり前のように思っていたこれらの仕事に対して、感謝の言葉が多く寄せられています。一方、悲しいことに偏見の言葉も見られるのです。

 

今回のパンデミックでは、格差・差別・偏見といった問題も浮き彫りになりました。今まで見えていたけれど、見ないようにしていた問題の一つです。

「ウィズ コロナ」という大きな覚悟を求められる考え方のなかには、これらの問題と一つずつ向き合いながら、コロナ以前よりもよりよい社会を実現していく、という覚悟も含まれるのではないでしょうか。

「ウィズ コロナ」という考え方のなかに、他者に対する寛容さも含まれていてほしい。そう願います。

 

今までもわたしたち人間は、大きな災厄から立ち上がって歴史を刻んできました。今回もきっと。

 

~~明けない夜はない~~