最近車を乗り換えた。もういい歳なので中古車で軽自動車でいいかな、などと思っていたが、思いがけず2000CCの3ナンバーのSUVを新車で買うことになった。
この車を買ってから、車で出かけることがとても多くなった。元々車の運転はあまり好きなほうではなかったが、ガゼン好きになってしまったからおかしいものである。現在は(コロナ禍ということもあるが)毎日の通勤にも使っている。
友人から、「なんかはっちゃけているよね!」などとからかわれる。そうそう、休日は家にこもっているほうが好きだったのに、出かけることのほうが多くなったし、生活全体が活性化して、新しいことにチャレンジすることも増えた。これも車のおかげなのか?と思ってみたりする。
振り返ってみると、自分にとって、車と生活スタイルは何となく対になっているようにも思う。
社会人になって初めて買ったのがU12型ブルーバード2000CCの今は安全性の観点から生産すらできないピラーレスのハードトップ。窓を開けると前席から後席まで全開。実に気持ちいい。
そして、当時はスキーに出かけるものだから、最新型の4輪独立駆動型。「アテーサ」と呼ばれるシステムだった。これでガンガンとスキーに行ったものだ。
ブルーバードは当時、若者というよりはちょっとオジサン向けの車種で落ち着いた雰囲気があったが、その中でもスポーティに降ったのがこのモデルだった。落ち着いた雰囲気だけどスポーティ、だけど雪道で安心な実用性。自分のライフスタイルにぴったりであった。
ところが。
悲しいかな、愛車は事故にあう。市内の路地で走行中、駐車場からソロリソロリと頭を出した車に横から当てられてしまう。幸い、衝撃は少なく全くケガもなかった。修理も板金ですぐに直った・・・かに見えた。
ところがだ。修理後は、高速道路を走行していると何となく左に舵を取られるようになる。しかも、前後のドアガラスがビミョーにずれてしまい、高速走行では風音がヒューと聞こえるようになった。普通に走る分には特に影響がないがやはり気になる。今にして思えば、ピラーレスの車体だから、横からの衝突にはすこぶる弱いのだ。法律で作ることができなくなるわけだ。
そんなわけで、思っているより早く乗り換えることになる。
我が家の2代目は、同じブルーバードのU14型。実家で父親が私の幼いころから乗っていたのがブルーバードなので、あまりほかの選択肢を思いつかなかった。当時は同じ車屋さんにお世話になる、というのが疑いもない慣習だった。
足回りの固いスポーツタイプで、こちらはそこそこ気に入った、という程度だった。高速道路を走ると、足の固さのせいで妻が車酔いをするというアクシデントが多くなった。二人目の子どもが生まれ、もっと荷物が積める、乗りやすい車がいいなと思うようになった。そこで。
リバティというクルマ。これは発売と同時、いや、発売前から欲しいなあ!と目をつけていた車だった。ディーラーに見に行ったら、子どもらが早速展示試乗車に飛び乗ったのを今でも鮮明に覚えている。家族4人、ときどきジジババ、あるいは妹の家族を載せて、海へ山へ温泉へ・・・
期待と妄想と現物が一瞬にして合体!した。即決で購入した。ちなみにこの車のキャッチコピーは「パパママリバティ!」まさにこのカタログそのものの当時の我が家でした。
リバティにはずいぶんお世話になった。不満もなかった。しかし、10年目の車検を受けるかどうか、誰もが悩むところであろう。
車検を前に、旅行でレンタカーに乗った。そこで、あまりにも燃費がいいのにタマゲタ!我が家のリバティはリッター8キロがせいぜい。レンタルしたティーダはなんと16キロも走った!!!
経済的な面も考えたし、もうそろそろ大型のRVは必要ないとも考えていた。
そこで、小気味よく走るティーダに乗り換えることにした。
2000㏄から1500㏄へ。東京の街中ではとても取り回しが楽。当時CMでは「ちょい悪おやじ」ジェローラモが起用されていた。経済的にきびきびと小回りが利く。そんなイメージ。
この車は「道具」として使わせてもらった。生活の上では転職やら、両親が亡くなるやら、子どもの教育にお金が最もかかる時期で、とにかくパフォーマンス重視の時期だった。
そして、最初に紹介した車になる。
転職後の仕事も安定し、収入も何とか恥ずかしくない額までになった。子どももようやく手が離れてきた。道具の延長でいいかな、軽自動車でいいかな、などと思っていたが、妻が「これにしちゃいなよ」と背中を押してくれた。
正直初めて運転が楽しいと思えるようになった。初年度は8千キロ以上も走った。コロナ禍がなければもっともっと走っていただろう。大学院に通ったり、新しい資格試験にチャレンジしたり、心なしか性格も少し大胆になったような気がしている。友達から「はっちゃけてる」といわれるのもうなずける。
源さん