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五輪異聞

オリンピックも幕を閉じました。無事?? だったのかどうなのか。

アスリートたちに罪はありません。真剣な力のぶつかり合いに感動も湧きあがりました。しかし・・・ その裏で少しずつ、犠牲にされたものもあるのです。

 

オリンピック開幕後すぐの一日、父の受診同行でクリニックに出向きました。朝一番の予約で、10時過ぎには帰宅の途につきました。ところが、オリンピックのある競技が市内の公道で行われることになっていて、交通規制が敷かれていたのです。

いつもと同じように駅からタクシーに乗りましたが、途中で交通規制に引っかかり、タクシーが進めなくなりました。運転手さんが警官に掛け合ってくれましたがどうにもならず・・・ 車を降りて歩くことに。

父は96歳、視覚・聴覚の障碍者です。持病もあります。30度を超す炎天下、道を一つ越えれば自宅に帰れるのに、それができない。このままでは、父が倒れてしまう。

おまけに周囲は競技を見物に来た人たちの黒山の人だかり。身動きも取れず、感染症もこれでは・・・と恐怖を感じました。

さすがに父は太平洋戦争を経験してきた世代、規制線を突破しようとして警官に止められ、「警察は国民の命を守るものではないのか!!」と警官に噛みついていましたが(「がんばれ、お父ちゃん!!」とムスメは応援♪♪)、どうにもならず。

暑さと人込みで具合が悪くなった父、救急車を要請しようかと考え始めたムスメのわたし。幸い近くの方が「終わるまでこちらで涼んでください」と招き入れてくださり、なんとか時間を過ごしました(感謝です!!)。

規制解除のあと、警官の先導で道を渡ってなんとか帰宅しましたが、父は疲れからか体調を崩し、寝込みました。

 

 

先にも書きましたが、アスリートたちに罪はありません。めったにないお祭り騒ぎに浮かれる人たちもまあ、百歩譲って大目に見ましょう(感染症対策で自宅でTV観戦が基本のはずですが)。でも、犠牲を強いられたものもあるのです。

わたしは特別区で路上生活の方の自立相談支援の仕事をしています。ここでは昨年度から、路上生活者の排除が目立っています。今に始まったことではありませんが、オリンピックが近づくにつれて、いつも以上に都庁周辺などの「清掃」が盛んにおこなわれました。海外メディアに「汚いもの」を見せないために。

排除された側のことは・・・??

 

なんのためのオリンピック?? 誰のための?? ・・・無事??に終わってくれてほっとしています(父にとっては「無事」ではありませんでしたが)。

アスリートたちの限りない努力には、敬意を表します。

 

次はパラリンピック、無事に開催・終了となることを祈っています。