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ひび?? ヒビ!! 日々・・・

昨年11月上旬のある夜、自宅で足をひねった。大したことはないだろうと思ったが、翌朝痛くて歩けなくなっていた。仕事を休み、かかりつけの近所の整形外科を受診した。

主治医はレントゲン写真の左足甲のはじっこの小さな線を指して、「ほら、ここ。ひび」 

わたし「ひび??ですか??」 

主治医「よかったじゃん、ひびで済んで。骨折だったら入院して手術だよ。なんとなく歩けてるしね」 

わたし「でも痛いけど」 

主治医「そりゃ痛いでしょ。あ、平らなところだけ歩いてね。階段はやめてね。全治3週間」

 

翌日杖を購入。杖を突いて足を引きずりながら歩いていると、会う知り合いすべてに「どうしたの??」と聞かれた。

「いや、ヒビ(この場合カタカナのほうが感じが出る)が入って・・・」 

「ヒビ!!かぁ。時間がかかるんだよね。お大事にね」 

「ヒビ!! 骨折より治りにくいっていうね。大事にしてね」

なんだかあまり慰められている気がしないやり取りが繰り返された。

 

日々とても不自由になってしまった(ひびなだけに)が、出勤しないわけにもいかない。早朝の有料の座席指定特急に乗り、職場の最寄り駅からは徒歩15分くらいのところをタクシーで行った。2週目くらいからは、30分くらいかけて歩いていけるようになった。

そうして不自由な日々を過ごしていると、いろいろなことに気づく。

杖を突いていると、電車の中などで席を譲ってくださる。駅などの人の多いところで、ぶつからないようによけてくださる。みなさん優しいのだ。日本は捨てたものではない。

また主治医に「平らなところだけ歩いてね」と言われ、「無理じゃん!!」と思ったのだが、それが無理でもなかった。駅には数段の階段であってもエレベーターやエスカレーターがついている。職場までの徒歩15分の間には地下道もあるのだが、一度も階段を使わずに行くことができた。都会という条件はあるかもしれないが、日本のバリアフリーも進んでいる。

 

3週目くらいからは、徒歩15分のところを20分少々で歩けるようになった。全治3週間と言われていたが、杖を使わずに歩けるようになったのは5週目くらいだった。自転車にも乗れるようになり、まあまあ治ったのかな、と思えるようになったのは、7週間ほど経ったころ・・・ 思った以上に時間がかかり大変だったが、いろいろと学ぶことも多かった。

こうして職場まで15分で歩けるようになり、普通に歩けることが「普通」なことではなく、ありがたいことなのだ、と日々感じている。