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ベストタイミングは「いま」

7月に入り、夏休みへの期待で胸を膨らませている子どもたちも多いことだろう。

夏休みには楽しい思い出が沢山ある一方、夏休みの宿題はやっかいだった。もはや何をしたのかほとんど覚えていないが、いつまでも手をつけず、毎年夏休み終了前の3日間ほどでやっつけていた。ただ一度だけ、余裕を持って宿題を終わらせたことがある。大学1年生か2年生だったが、ごく薄い英語の本を日本語に訳すというもので、早く終わったので友人たちにノートを貸した。その相手を今でもはっきり覚えているほど特別なことだった。たまにはやってみようと思って取り組んだだけなのだが、成し遂げたときの満足感と開放感はたまらないものだった。

 

何十年も経ち、今ならばノートではなく、データをメールで送るのだろう。翻訳ソフトもあるから、翻訳という宿題自体だされないのかもしれない。環境は激変したというのに、私の習癖は変わっていない。あれほどの爽快感を確かに体験したのに、なぜ物事を先延ばししてしまうのだろう。

 

先日、先延ばしについて学ぶ機会があった。

なんと、人には遺伝子レベルで先延ばしが染みついているのだそうだ。原始の昔、狩猟採集民だった頃は生き延びることがいちばん大事だったから、危機に遭遇したその時に関係ないものはあと回しにされたのだ。もうひとつ、人には、やらなくてはいけないことを難しく考える特性がある。だから、取りかかるのに躊躇する。このようなことから、先延ばしグセは人として自然なことで、95%程度の人に先延ばしグセがあるとのこと。因みに先延ばしする人の特徴として「完璧主義の人」と「自己批判する人」の2つは多くの学者が指摘しているようだ。

 

なぁんだ、そもそも人は先延ばしする動物なのだと少し安心したのも束の間、デメリットを知り、慌てた。①集中力が続かなくなる ②モヤモヤが残る そして、先延ばしを続けていると③ストレスが溜まり身体に悪影響が出る。 

特に衝撃的だったのは、①と②だ。先延ばししていることを脳がずっと考えているため、自然にマルチタスクをしている状態になる。確かに、終わってしまうとスッキリするが、残しているとモヤモヤしている。これが続けば③身体にも悪影響が出るのは想像に難くない。ただでさえ、記憶力の衰えが気になっているのに、こんなことで脳のエネルギーを無駄遣いしてはいけない、と強く思った。

 

さて、先延ばしグセの解決策だが、印象に残ったものをいくつかご紹介しよう。

完璧主義より完了主義: 完璧になどなかなかできない。まずは完了・終了を目指す。

開始デッドラインと終了デッドラインの2つの締め切りをつくる: いつ始めるのか、いつ終了させるのかを明確に決めて脳に認識させる。

人は自分のイメージどおりの人になる: 自分自身に対するイメージが行動を決定し、さらには運命まで決定するそうだ。例えば「私には先延ばしグセがあるからなかなかできない」のではなく、「私は即行動する人だ」と思うようにしよう。

ベストタイミングは常に「いま」: まるでどこかのCMのようだ・・・それはさておき、行動は早ければ早いほど有利になる。成果を残す人は行動が早いことからも明らかだ。難しいことでもすぐに始めれば、その分時間もかけられ、満足度も上がる。

 

時間は全ての人に平等に与えられたもの。それをどのようにつかうのかは自分次第だ。

 

choco