ある日、ふと新聞の広告に目が止まりました。
そこには「心とカラダを整える、おとなのための一分音読」という題名の本が紹介されていました。”おなじみの名文を読めば心とカラダにいいこと一杯” との宣伝文句とともに、3冊セットBOXプレゼント!の文字に魅かれてしまいました。
そうなんです。私は〇〇プレゼントとか、〇〇割引きとかについつい引き寄せられてしまう
ところがあるのです・・・
というわけで3冊セットを手に入れ、そっと表紙をめくってみました。
そこには「元気が出る音読」「気持ちが落ち着く音読」「音やせりふを楽しむ音読」との見出しごとに小説や随筆、詩や短歌などから一分を目安に読める文章が、作者や内容の紹介とともに並んでいました。
例えば、元気が出るってどういうことかといえば、歯切れの良い文章、じわっと熱気が伝わってくる文章、優しい気持ちになれる作品を収めてあるとのこと。どのように音読すると良いかのアドヴァイスまで記載されています。
早速最初の一篇を音読してみました。音読って声を出して読むこと。周囲に誰もいなくても声を出すこと自体が何だか気恥ずかしいような気分。さらに読み方のアドヴァイスポイントには「歯切れのよい江戸っ子らしい言葉で書かれているのだからリズムよくちょっと乱暴な読み方で(小説はご存知夏目漱石の「坊ちゃん」)とあり、ますます恥ずかしい。アドヴァイスに沿うよう何回も声に出していると一分はあっと言う間に気づけば10分以上に。でもなんだか楽しい! ちょっと役者になったような感じでだんだん声が大きくなっていくのです。文章の言わんすることも読み取った気分になってくるから不思議です。
そんなわけで嵌まりました! 音読に!!
わずか1分足らずなのですからサクサクいくつもの文章(作品)の音読に進めると思いきや、あにはからんや文章の内容から滲む思いを声に出せているか等々こだわって少しも先に進みません。それでもちょっとした空き時間や嫌な思いに捉われたときなど、大きな声で読んでいると気持ちがスッキリ、本の中にある世界に浸ってストレスも解消!
一分音読の推薦の言葉には、気持ちが落ち着く、やる気が出る、ストレス解消・抵抗力アップ、脳が活性化、のどの筋肉が鍛えられ誤嚥を防ぐ 等々があげられていました。
さてどうなのか? やってみて、続けてみて、私は気持ちが落ち着きますし、ストレスは確かに和らいだような。音読しつつちょっと日ごろ使わなくなっている日本語の豊かな表現に、そしてその美しさに気づかされ脳の一部を使った気持ちにもなりました。
なによりもコロナ禍で対面での人との会話が減った分、音読で声を出すのはその代わりにもなりました。
いかがでしょう。黙読もよいですが、時に声を出して文章を読んでみるのも乙なものですよ。「音読」をお勧めします。
鶴丸